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2006年9月14日 (木)

この本を読みました~「ぼくの・稲荷山戦記」

うさみの大好きなお話が、大好きな漫画家、波津彬子さんのイラスト表紙で文庫化されました。



たつみや章さんの「ぼくの・稲荷山戦記」、第32回講談社児童文学新人賞を取った子供向けファンタジーが、大人にも読んで欲しい、と刊行から
15年を経て文庫で登場です。

子供向けファンタジーで、タイトルに「戦記」とついていると、魔法使いや妖精・ドラゴンやホビット総出演で壮大な正邪二極対決か、と思われそうですが、舞台は今より少し前の日本、戦うのは普通の人間、相手も普通の人間です。

テーマは陳腐なひとことにしてしまえば、自然保護、です。
裏山をレジャーランド開発でつぶされそうになった主人公の中学生が、地の神とその使いの狐と知り合い、彼らを守るために開発中止を求めて企業と戦う、というストーリー。

ファンタジーと言えども、作者のとても強いメッセージを感じます。
現実の世界と離れた夢の世界に浸りたい方には向かないかも・・・ 

何せ「正義」は最後に勝ちませんので・・・(^_^;)。主人公も、化けると美青年になるお使い狐も、本来の望みをかなえることは出来ず、いわば「負け」てしまいます。
でもそれが現実なんですよね、何十億もかけて土地買収して進んできた開発プロジェクトを、住民の反対運動で反故にしてしまうとしたら、それはあまりに非現実的。それで会社がつぶれたら、社員や家族はどうするんだ、という話になってしまいます。

そうした辛い現実の中に、希望の芽が出るところでお話は終わります。芽が大きく育って花開くかどうかは、主人公や周りの人たち、ひいてはお話を読んでいるひとりひとりのこれから次第。

たつみやさんの「月神シリーズ」もそうなのですが、神様にも出来ないことがある、永遠に続くものはない、というところが切なく胸を打ちます。
鍵を握るのは人間の信じる心・・・ラストシーン近くで海神の潮彦が主人公マモルに問いかける言葉です。

   信ずればすべては真、うたがえば、すべては模糊の混沌におちいる。なにが現でなにが虚夢か、決めるのはおまえの心ぞ。・・・うたがうことのみを知恵と思い込み、信ずるべきも信じず、あるものをもないと否定する。さすれば、残るものは迷いの闇だけよ。


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コメント

おぉ~うさみさん、この本を読まれたのですね。
実は、以前こちらの本を凄くオススメという事で、紹介されていた記事を読んで
気になっていたのですが。。。
それっきりになっていました。(かなり前の事です)
再びこちらで目にするとは。。。しみじみ
てっきりファンタジーふうな読みもので
めでたし的なかんじなのかと
思っていたら、そうではないのですね。
でも、希望の芽が出る終わりかたなのですね。
(ホッ。。。)
そして、うさみさんが紹介されている
たつみやさんの「月神シリーズ」も
気になります(^_^)
うさみさん、取りあげて下さって
ありがとうございます。
読書の秋にしてみようかなぁ~。

投稿: りる | 2006年9月17日 (日) 12時38分

>りるさん
たつみやさんはストーリーテラーというか、ぐいぐい人を引き込んでいく文章で読みやすいと思います。
「月神シリーズ」は古代日本のお話、こちらも大好きです。ハードカヴァーしか出てないんですけど。

投稿: うさみ | 2006年9月17日 (日) 22時07分

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