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2007年6月27日 (水)

歌舞伎ミステリ

最近立て続けに歌舞伎界を舞台にしたミステリを読みました。

復刊になった文庫、「團十郎切腹事件」。

劇評家、故戸板康ニさんの歌舞伎に関する本は読んだことがありましたが、ミステリも手がけていたとは全く知りませんでした。直木賞まで取っていらしたのに(^_^;)。
江戸川乱歩に請われて雑誌に書いた1本が好評で、歌舞伎役者中村雅楽が主人公をつとめるシリーズを執筆されたそうです。

読んでみて不思議に感じたのが、時代の古さを感じないことでした。
探偵役の歌舞伎俳優と、いわばワトソン役で語り手の演劇評論家が、歌舞伎にかかわる事件を解いていくのですが、こと劇場の中で展開している間は、現代の話だと言われてもおかしくないと思いました。
それだけ歌舞伎の小屋というのが、時間や場所を超越した異空間なのでしょうね。

歌舞伎に係わる多くの人々の暮らし模様が垣間見えて面白かったです。

そして歌舞伎座のHPで存在を知ってまとめて読んだ、近藤史恵さんの歌舞伎ミステリ・シリーズ。

私立探偵さんと、その友達の歌舞伎役者(国立劇場の研修生出身の大部屋俳優、この人の経歴は面白い)のコンビが、歌舞伎界に起こる事件を解決していくのですが、どの話でも歌舞伎作品と、それを演じる役者の状況が重なっています。

そしてどれも殺人事件などが起こるミステリではあるのですが、恋愛小説のように女の恋心がからんでいます。
歌舞伎の世界に出てくる女性(女形)の究極の理想としての女の姿と対比するかのように、生身の女性のずるさや無神経さ、身勝手さが出て来て、熱に当てられる場面もありますが、最後はミステリとしてのオチをきっちりつけて幕を引く、いさぎのよさに救われています。

役者の執念にぞっとした「ねむりねずみ」、舞台に散るひとひらの花びらが絵画的に記憶に残る「散りしかたみに」、歌舞伎の家を継ぐことの生臭い面について考えさせられた「桜姫」・・・うさみは「二人道成寺」の役者ふたりと片方の奥さんの三角関係、と思いきや実は、という話がいちばん好き、かな。

どれかの解説に、「歌舞伎を題材にしたミステリが少ないのは、芝居や講談などの題材になった歴史物語や名台詞がいまの日本人の共通知識から外れてしまったからだ」というような一文がありました。
洋物ミステリにはよくシェイクスピアが登場しますが、それはその本を手にする層なら誰もがシェイクスピアの作品を知っているということを前提にしているんですよね。
いまの日本では、「道成寺」と言われて、清姫伝説、蛇、鐘、と来る人は少ないのでしょうか・・・寂しい話です(T_T)。

そんなことを言ううさみにしても、歌舞伎は好きですが、お能は何回見ても途中で眠ってしまうし、端唄のひとつも歌えないし、俳句もひねれないし、日本人として寂しい気がして来ました(^_^;)。

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コメント

「道成寺」なら聞いたことがありますが歌舞伎については全然分かりません。日本人としては寂しいことですが(--;)
全く観たことがなくてもミステリなどの小説で知識を得るなんてこともアリでしょうか(汗)

投稿: ofuu | 2007年6月28日 (木) 20時57分

>ofuuさん
小説や漫画で興味を持って何かを好きになることって大ありですよ~。その方が身近だし、好きな人が書いているので、ハウツー本なんかより愛が伝わる気がします。歌舞伎も、学校の鑑賞教室などで義務で見たのでは面白くないんじゃないでしょうか。
余談ですが、私の野球とバスケのルールに関する知識はほとんど漫画で覚えました(^^ゞ

投稿: うさみ | 2007年6月29日 (金) 21時22分

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