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2008年9月14日 (日)

「ハンマークラヴィーア」と「大いなる聴衆」

ベートーヴェンのピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」のCDを買いました(^^♪。

最近読んだミステリ「大いなる聴衆」(永井するみ著)で、とても重要な位置を占めていたのがこの曲で、どんな曲か聴いてみたくなりました。
この曲が収録されたCDは数少なかったものの、どのピアニストのがいいかよくわからず、ジャケットの写真が気に入ったヴェデルニコフというピアニストのを選んでみました。



「大いなる聴衆」は、ピアニストの婚約者が誘拐され、「彼女を助けたければ、次のコンサートで”ハンマークラヴィーア”を完璧に演奏しろ。」という脅迫状が届くというストーリーです。
”ハンマークラヴィーア”は、数年前にピアニストが腎不全の娘のために素晴らしい演奏を披露した曲で、生体腎移植手術の甲斐なく亡くなった娘を悼んで、その後は一度も弾いていないという、いわくつきの曲でした。

急遽曲目を変更して演奏される”ハンマークラヴィーア”の音にのって、その曲にまつわりピアニストがひた隠しにしていた秘密と、彼をめぐる人間関係、誘拐事件の真相という絡まりがほどけていきます。

東京芸大音楽学部に席を置いていたという作者さんらしく、曲や演奏について詳しい描写が出て来ますが、音楽を言葉で表わされても、なかなかそれが自分の頭で音として再構築されません(^_^;)。
タイトルだけは耳にした事がありますが、どんな曲かは知らず、演奏が困難な難曲だという”ハンマークラヴィーア”の実際の音を聴いてみたくなって、CDを買いました。

~この後、ミステリの結末に多少触れています。

タイトルの「大いなる聴衆」Tremendous Audienceは、ピアニストが師匠から受け継いだ口癖ですが、言葉に含まれるのは、演奏者としての自負から来る無自覚の差別

真の芸術家は、才能と状況に恵まれた者だけ、それ以外は聴く人(聴衆)なのだ・・・ピアニストとして生きること、ピアノを弾くことが人生において最も意味のあることだと思って来たピアニストにとって、ただ「ピアノを弾く自分」と「ピアノを聴く人たち」を区別しただけの言葉でしたが、「区別」は「差別」となり、「無自覚の罪」として人を傷つけ復讐に走らせることになります。

背負うことになる重さを理解してでも罪を犯さざるを得ない人間の業も恐ろしいですが、自分の行為が罪になりえるということに全く気付かず人から指摘されても理解すら出来ない狭量な人の心にも、背筋が寒くなります。

事件が解決して、大団円かと思われたラストシーンが、「きみは僕にとって大いなる聴衆だよ。」という言葉で締め括られ、この人はどんな目に遭っても「無自覚の罪」を自覚することなく、今までと同じように生きていくのか、そしてまたいつか、この言葉に苦しめられる人が出て来るのだろう、と巡る運命に切ない気持ちになりました。

CDを聴きながら、コンサートのシーンを読み返してみると、迫力抜群に胸に迫って来ます。特に最終楽章の低音部のシーンは、こちらの心臓までドキドキしました。
どのあたりがピアニストにとって難曲なのか、素人うさみにはわかりませんでしたが、音の多彩さ、スケールの大きさを感じました。

秋の夜長に、ミステリとピアノをセットで、というのオツなものですね(^O^)。

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コメント

 まあ、読んで 聞きたいですね。
 いまみてるDVDに 「敬愛なるべェートーベン」という予告編が入っているんです。
 エド・ハリスです。運命の指揮の・・・・みたい。

投稿: 小紋 | 2008年9月15日 (月) 19時48分

>小紋さん
ベートーヴェンのその映画、見たいと思ってまだ見ていませんでした~。感動で泣けそうなストーリーですよね。

投稿: うさみ | 2008年9月15日 (月) 20時32分

本文、読むのを途中で止めました。
これから買いに走ります。
店頭在庫があるかしら?
それともAMAZONのお世話になるのかしら?

本がまだ手元にないのに、どきどきわくわくしています!!

投稿: aosta | 2008年9月19日 (金) 14時24分

>aostaさん
私の記事で本に興味を持ってくださって嬉しいです(#^.^#)。「大いなる聴衆」手に入ったでしょうか?何年か前に出た本なので、どこの本屋さんでも置いているものではないと思いますが。
もしお読みになりましたら、ぜひご感想をお聞かせ下さい。

投稿: うさみ | 2008年9月19日 (金) 22時58分

音楽がミステリーの「核」になっている作品ではないですが、ピアニストが出てくると聞いて「リヴィエラを撃て」を思い出しました。ちょっと骨太のスパイものでしたけどね。

投稿: アラベスク | 2008年9月20日 (土) 19時52分

>アラベスクさん
「リヴィエラを撃て」、高村薫さんは好きなんですが、これを読んだかどうか記憶にありません・・・。「神の火」と「李歐」は覚えているんですが。

投稿: うさみ | 2008年9月20日 (土) 22時24分

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受信: 2008年9月16日 (火) 22時52分

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受信: 2009年9月30日 (水) 18時27分

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